吉良からのメッセージ

2016年6月2日

通常国会を終え 安倍総理会見を聞いて思うこと

昨日6月1日、通常国会が閉会しました。
つい2週間ほど前までは「100%衆参同日選挙」という解散風が永田町に吹き荒れましたが、最終的には同日選挙はなくなり、安倍総理による「消費増税の先延ばしの是非につき、参議院選挙で国民の信を問う」ということになりました。14年暮れと同じく、「アベノミクスの継続の是非」が争点の参議院選挙になります。

今後のメルマガの中で、経済学者やエコノミストの見解なども披露しながら、アベノミクスが如何にわが国の経済を疲弊させ、国民の暮らしを苦しくしているのか、について説明を試みたいと思います。

一昨日の衆議院本会議において、私は6~7年ぶりに大声で野次を飛ばしました。内閣不信任決議案に対する与党の反対討論の時です。
自民党、公明党両党の代表者が「アベノミクスが如何に実績をあげているか」滔滔と説明している最中「だったら、予定通り消費税を増税しろ!」「成功しているのに先延ばしは筋が通らん!だったら増税しろ」と。
心の底から怒りが込みあげてきたのです。

昨日の安倍総理会見の内容もしかり。
アベノミクスの実績を誇張し、アベノミクスはうまくいっているが、世界経済の今後が不安だから、消費増税を19年10月まで先送りする、との内容。呆れてものが言えません。

安倍総理が連休中に欧州(伊、仏、独、英、ベルギー、露)をG7サミットの根回しのために訪問しましたが、その首脳会談内容を受けて、私は外務委員会において、G7を国内政治に利用する愚行の可能性について厳しく指摘
しました。
案の定、国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しなど、「世界経済はゆるやかな回復基調にあるが、中国経済の減速や、原油など資源価格の低迷とその影響をうける新興国経済の低迷が下振れ要因」というのが国際的な一般的見解です。
それを、安倍総理は、「(自分のもっていきたい方向性にとって都合のよい数字だけを取り出してきて)新興国経済がリーマンショック前のような状況にあり、これを放置すると世界経済全体のリスクになる」と強引に世界経済の危機を誇張し、「それを避けるためには、先進国、G7が結束・協調して、対応する必要がある。各国の事情に応じて、機動的財政出動、金融政策、構造改革で対応すべき」とG7で結論づけてしまったのです。

この結論について、「自分の思い通りの落としどころに落とせたのだから、たいしたものだ」という見方があるかもしれませんが、国としては大人の集まりであるG7の各国が、議長国の意向に真っ向から反対することなどありえません。
議長国を立てながら、譲れないところは、外交辞令を用いながら婉曲にお断りし、決して相手に恥をかかせたり、窮地に陥らせたりはしないものです。
独や英国は安倍総理の機動的財政出動には婉曲ながら拒否しているのです。一方、独も英国も長期的な成長につながる構造改革は支持します。それだからこそ、誰もが納得する「各国の事情に応じて、機動的財政出動、金融政策、構造改革で対応する」という結論で落ち着いているのです。

このような、世界のリーダーの大人国が、議長たる安倍総理に恥をかかせないように配慮したG7の強引な結論を消費増税延期の理由にしたことが許せないのです。
国内経済、世界経済のどちらをみても延期する理由はないのです。

増税は国民の支持が高い政権にしかできません。現在の安倍政権がやらずして一体どの政権でやれというのでしょうか。
最優先で子供たち、将来世代、子育て世代を支援するため、現役世代、高齢者世代に安心をもたらす社会保障の充実を図っていくために、消費増税は避けて通れないのです。

安倍総理の歴史に残る愚行(悪判断)に完全と立ち向かっていきたいと思います。

なお、次号では、民進党の党見解もご紹介しながら、国内経済の現状を掘り下げてお伝えいたします。

*外務委員会での質疑内容は、前号前々号のブログをご参照ください。