TPP合意の意義について
本日のテーマは「TPP」です。
TPP特別委員会では、激しい攻防が行われており、民進党は「一般論としては、経済連携を推し進めることに賛成で、TPPそのものに反対するものではないが、今次安倍政権により合意されたTPPには反対」という立場を取っています。
私は、民主党政権時代、TPPへの参加の是非を議論する「経済連携プロジェクト・チーム(PT)」の事務局長として、TPP議論を取り仕切る立場にありました。同PTとしては参加の是非に対しては中立でしたが、私個人は終始一貫して「推進」という立場であり、「参加反対」という流れにだけはしないよう全力を傾けました。
そして、TPPとは何ぞや、TPP参加のメリット・デメリットは何か、反対論の中で特に多かった農業問題やISDS問題などについて、吉良州司の広報誌である「きらきら広報13号」において、詳細に説明し推進の論拠を明らかにしました。(広報誌13号TPP特集をご参照ください)。
本メルマガでは、広報誌で説明した次元よりも、もう少し高い次元での考察を展開したいと思います。
1.地政学的、外交戦略的にTPPを推進する意義。中国の上海協力機構に対抗。
2.世界経済がよくなれば日本経済がよくなるという構造の中で(データが証明済み)、世界のGDPの4割を占めるTPPの発展、TPP加盟国の経済成長が日本経済をよくする意義。
3.日本は資源・エネルギー、食料を外貨で買わなければ生きていけない。その外貨を稼いでくれているのは輸出企業・海外投資企業。それら企業の活躍の場(システム的、市場的インフラの整備)を整備・拡大・発展させる意義。
上記1、2については先週のメルマガにて既にお伝えしていますが、3についてはまだ説明していませんでした。
TPPには「迎え撃つTPP」と「打って出るTPP」があります。現在TPP特別委員会で議論されている農業問題やISDS問題(特に米国企業が日本政府を訴えることにより、日本独自の環境規制、食品安全基準などが米国のそれに引きずられてしまうのではないかという懸念、更には日本が誇る医療保険制度などの変更を強いられるのではないかといった議論等)などは、ほとんど「迎え撃つTPP」の議論が中心で、日本全体の国益増進をどう図っていくのかという「打って出るTPP」についての議論がほとんどありません。
また、その前提になる「日本の経済的国体」とも言える「資源小国日本の宿命」についての議論もありません。日本円が機軸通貨ではないため、日本が生きていくために必要な資源、エネルギー、食料といった「戦略物資」を「外貨」「米国ドル」で買い続けなければなりません。その外貨を海外への投資企業、輸出企業に稼いでもらわなければならないのです。
その海外投資企業、輸出企業がより広く大きく自由な市場で、投資・貿易を行ってもらうためのシステム的、市場的インフラ整備こそTPP合意だという認識が必要だと思うのです。
私の考えや認識は今の民進党の基本姿勢とは異なる部分もありますが、私の主張は終始一貫していますので、持論を展開し続けていきたいと思っています。