吉良からのメッセージ

2020年12月31日

2020年を振り返る ~コロナ禍で日本の課題が浮き彫りに~

先日、参院長野選挙区選出の立憲民主党所属羽田雄一郎氏がコロナ感染により53歳という若さで亡くなりました。残念でなりません。羽田参議とは個人的に深い付き合いはありませんでしたが、民主党、国民民主党を通じての同僚でした。また、昨年2019年の信濃川が決壊するなどした長野県豪雨災害時に現地視察した際に、国土交通大臣だった経験も活かしながら、県知事と協力して陣頭指揮を執っていた姿や会う人会う人みなさんから慕われている姿を忘れることができません。心よりご冥福をお祈りいたします。

さて、今年2020年は世界史的な歴史に残る1年となりました。日本のみならず世界中がコロナで始まり、コロナで終わる年となりました。暦上の年は終わりますが、コロナ感染は今日12月31日時点で変異ウィルスの拡大を含めコロナ禍は勢いを増しこそすれ、終息に向かう気配がありません。
この年末年始は家族とともにステイホームしながら静かに正月を過ごす家庭が多いと思います。この年末年始の自発的自粛生活によって感染拡大が収束に向かうことを念じてやみません。更には、現在、世界の主要国においてワクチンの開発、承認、接種が始まっていますので、2021年の早い時期に世界的感染が終息することを期待します。

今年はコロナ禍によって我が国の社会、経済、中央政府と地方自治体間の関係、医療提供システム、教育システム、政府と個人の関係、デジタル政府化の遅れ、社会保障システム、などなど様々な課題が浮き彫りになった年でした。
私自身は、これらの課題について、その都度メッセージを発信し、時にはプレゼンテーション資料を作成しお届けしながら、みなさんと諸課題について問題点を当ホームページにて共有し、私が考える対応策についてお伝えしてきました。

個々の課題については各メッセージを参照願い、ここでは触れませんが、今後の我が国が活力に充ち、幸せ感溢れる国であるための課題を1点だけお伝えしたいと思います。

それは、「個人も、地域も、企業も政府に依存する体質」を改めることです。自助、共助、公助の議論ではありませんが、私は「厚いセーフティーネットを張った自己責任社会」こそ、追求すべき我が国の社会像だと思います。「自分のことは自分で何とかする」という姿勢のない個人、向上心のない個人ばかりの社会に活力が生まれようはずがありません。しかし、仕事に生活に頑張った結果として挫折を余儀なくされる場合でも、またチャレンジできるまで一定期間の生活が保障され、やり直すための自己投資の公的支援があるなど、厚いセーフティーネットを張り巡らすことによって、誰に対しても「安心」装置が用意されている社会こそ、「自立への挑戦」と「安心」が両立する社会なのではないでしょうか。

そして、現在進行形のコロナ禍においては、本来なら「安心」つまり厚いセーフティーネットを総動員しなければならないのですが、その制度が全く以って不十分なのです。
それ故、今年のコロナ禍において、コロナ対応に当たる医療従事者への即時充分強力な支援と観光業・飲食業等への固定費補償、生活に困窮する低所得世帯、低所得失業者に対する厚いセーフティーネットの具体的政策として、「緊急時低所得世帯生活保障制度」および「緊急時低所得失業者生活保障制度」を提案し、政府与党有力議員に働きかけてきました。上記のような問題意識と考え方に基づいてのことです。

日本ほど景気や生活を国に頼る国民はいません。この20年~30年間、他の先進諸国が国も個人も大きくその豊かさを増したにも拘わらず、我が国だけが低迷を続けているのは、「国依存症」以外のなにものでもありません。正月明けに「データで見る日本経済の実態(国際比較)」というプレゼンテーション資料をホームページに掲載予定ですが、コロナ禍を克服しながら、同時に、アフターコロナ時代の日本を如何に活力に充ち、幸せ感溢れる国にするかの構想を温め、その実現のために一歩を踏み出さなければなりません。そのためには、アベノミクスで日本は豊かになっているなどという大本営発表に惑わされることなく、現在の日本の実態を国民全体で共有する必要があると思うからです。
残念ながら、過去30年、25年、20年の日本経済を他の先進諸国と比較したデータは、日本だけが取り残されていることを語っています。たとえば過去25年間の名目GDPは米国が2.8倍に、英国2.1倍、カナダ2.9倍、豪州3.8倍、仏・伊1.7倍、独1.5倍と増加させていますが、日本だけは0.93倍と減少させています。1億200万人と人口が多いので、GDPの絶対値は欧州諸先進国よりも大きいままだとは思いますが、ひとり一人の豊かさでは、先進国から脱落してもおかしくない状況に陥っています。それだけに、「厚いセーフティーネットを張った自己責任社会」を実現し、何とか元気溢れる国に復活させたいと念じています。

来年2021年は、教育を充実させ、将来世代最優先の旗を高く掲げ、子育て世代への大胆な支援を行い、生活者優先の経済と政治へと大転換することによって、今一度、「安心」の土台の上に、活力に充ちた、幸せ感溢れる社会を築いていく年にしたいと思います。

今年1年、コロナ禍の不安がある中、みなさんから多くの激励を戴き、元気をもらいました。心の底から深く感謝致します。本当にありがとうございました。

来年がみなさんにとって素晴らしい1年となりますことをお祈り致します。よい年をお迎えください。

吉良州司