吉良からのメッセージ

2021年3月31日

米ドル・ベースの国際比較による日本経済の実力 その1 ~安倍政権時の米ドル・ベースGDPは一度も民主党政権時のGDPを上回ったことがない~

桜が満開です。大分の山々に溶け込む山桜、東京の街道沿いや川沿いを彩る桜並木、「春満開」です。やはり桜を見ると心が華やぎます。コロナの拡大抑制にはマイナスに働くかもしれませんが、明るい気持ちにさせてくれる桜に感謝します。

嫁さんからは風流味がなくなると毎回怒られるのですが、春夏秋冬の変わり目にいつも思うことは、「ああ、今年も地球は23.4度の傾きを保ったまま、太陽の回りを頑張って回ってくれているんだなあ。お蔭で、温帯に位置する日本では毎年毎年、四季を楽しめる」と考えてしまうのです。味気ないかもしれませんが、宇宙、自然の偉大さ、不思議さ、素晴らしさを噛みしめながら今は桜を満喫しています。

ここまで書いていた時、地元大分の明豊高校が決勝に進出することが判明しました。1967年の第39回センバツ大会において、後に阪神に入団する吉良修一投手が鋭く落ちるドロップを武器に優勝した津久見高校以来の快挙です(津久見高校は夏の甲子園でも私が中学3年の時に優勝しています)。明豊の活躍で、大分は春満開です!頑張れ!明豊!

さて、前回のメッセージにおいて「中国の世界における経済的な存在感については本メッセージを最後にしますが、一旦、違うテーマを扱った後、今度は、中国の政治状況や軍事的側面も取り上げたいと思っています。」とお伝えしていました。

その「一旦違うテーマ」として、「米ドル・ベースの国際比較による日本経済の実力」を取り上げます。この内容の一部は、2020年2月19日から4回シリーズで連載した「アベノミクスは私たちの暮らしをよくしているのか その1~その4」および、2020年9月22日付「菅政権はアベノミクスを継承すべきでない」でも目を通して戴いておりますが、今回、その意外性に富んだ「米ドル・ベースで見た日本経済の実力」について、コロナ禍前の2019年のデータを織り交ぜながらお伝えしたいと思っています。2020年のデータは公的機関においても現在集計中であること、また、コロナ禍の経済は各国とも常態ではない結果がでていることから、2019年のデータを使用します。

1.第二次安倍政権時の米ドル・ベースGDPは一度も民主党政権時のGDPを上回ったことがない(民主党政権時2012年6.2兆ドルから2019年は5.08兆ドルと1兆ドル減少)

7年8か月もの長期政権となった第二次安倍政権の最大の売りは「アベノミクス」でした。安倍前総理は株価上昇と、47都道府県全てにおける有効求人倍率1超えをアベノミクスの成果として強調する大本営発表を繰り返し、国民もこの発表を信じさせられてきました。
しかし、有効求人倍率の向上は団塊の世代の大量退職と少子化継続による人手不足が原因であり、株価は現在・将来の企業業績に関係なく、市場に潤沢な資金が供給された場合にも上昇します。有効求人倍率も株価上昇もアベノミクスの成果証明にはなりません。

一方、安倍前総理から「アベノミクスによって日本経済が世界の中でこれだけの存在感を示すようになった」といった威勢のいい誇らしげな説明はただの一度もありませんでした。それもそのはずです。世界における日本経済はアベノミクス施行の間も国際比較上低迷を続けていました。米ドル・ベースの第二次安倍政権下のGDPは「悪夢のような」と評する民主党政権時代のGDPを一度も上回ったことがないのです。

民主党政権(2010、2011、2012年)第二次安倍政権(2013、2014、2015、2016、2017、2018、2019年)の米ドル・ベースの日本のGDPは以下の通りとなっています。


民主党政権時代(単位:兆ドル)
2010年 5.700
2011年 6.157
2012年 6.203
第二次安倍政権時代
2013年 5.156
2014年 4.850
2015年 4.389
2016年 4.923
2017年 4.867
2018年 4.955
2019年 5.082

上記でお分かり戴ける通り、第二次安倍政権字の米ドル・ベースのGDPは悪夢のような民主党政権時のGDPを一度も上回ったことがなく、民主党政権2012年の6.203兆ドルから第二次安倍政権2019年の5.082兆ドルとほぼ1兆円も減少しているのです。これが実態です。

「米ドル・ベースでGDPが減少」と指摘すると必ず「ドルと円の為替相場の影響だ」との反論が出てきます。勿論、為替の影響はあります。しかし、国際比較は米ドルで行うことが世界標準であり、フォーチュン誌の「グローバル500世界企業番付」などの世界企業ランキングも米ドルで順位付けされますし、国の経済力比較等も米ドルで行われます。
過去1980年代後半などに「Japan as No.1」と言われた時期は、米ドル・ベースの比較において日本の経済力の強さを誇らしげに強調していたにもかかわらず、都合が悪くなると、「為替のせいだ」と反論するのは筋が通りません。

次回以降のメッセージで解説させてもらうつもりですが、国際化した日本企業は円高で苦しんだ経験を活かして、世界の最適経営資源を駆使してのサプライチェーンを構築していて、円高でも利益を出せる円高耐性をつくり上げています。
グローバル化の進展、日本の経済構造の変化、わが国を含む先進国においては個人消費がGDPに占める割合が6割から7割になっている実態などから、「円安 即ち 国益」の時代はもはや過去のものだと思っています。円安こそ国益という古い固定観念の下で、異次元の金融緩和策など、円の価値を減価させた結果、国際化時代を生きる現在の日本国民の暮らしが苦しくなっているとの認識を共有する必要があると思っています。

長くなりましたので、続きは次回以降にさせてもらいます。

吉良州司

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